2015年1月アーカイブ

「いつか、あなたも」

2014年に発売された久坂部 羊の短編集「いつか、あなたも」は
在宅医療専門クリニックで働く看護師が主人公です。

看護師が登場するドラマや映画、小説で描かれるのは
看護師の「光」の部分が多いです。
目を背けたくなるような「汚」部分にはあまりスポットがあたりません。

物語の展開上、映像の都合上、仕方のないことなのかもしれませんが
実際の看護業務を体験してみて理想と現実の違いに参ってしまう人も少なくありません。

「いつか、あなたも」に収録されている「綿をつめる」には
無くなった患者さんのエンゼルケアについて、生々しく描かれています。
体の穴という穴に綿を詰めていく作業です。
鼻の穴、喉の奥。
ついさっきまで息をしていた患者さんの体に、綿を詰め込んでいきます。
肛門にも指を突っ込み、便をかき出します。
葬儀の最中に体液が漏れてこないように、奥まで詰めます。

最期の時を、綺麗な姿で過ごせるように。
家族の記憶に残る最後の時間が美しいものであるように。
【看護】というのは、亡くなったらお終いではないということが良く分かります。

とても良い小説ですので、看護師を目指す人は是非一度読んでみてください。
看護について改めて考えることができるはずです。